たまたま、街をぶらぶら歩いてたんだ。
ドラマも、一区切りついて、久々のオフって奴。
ドラマの撮影でもよく使ったトンネルにさしかかった時。後ろから、革靴の音が後ろから響いた。
「おい」
革靴の音とともに不意に、聞きなれた声。不思議に思って、振り向いた。
やべ、おいら今日なんも変装なんかしてねぇや。
そんな不安もそのままに、いつもどおり振り向いた俺は、目を見開いた。
「にの・・・!」
それは、ドラマの初めに行った、その姿で。
「お前、なるせだろ?なんで、お前がこんなところにいんだよ」
「にのー、さすがにそれはおいらでも、だまされないべ」
怪訝な顔で近づいてくるニノは、いつもと違った。
いっつも、冗談でこんな事してくるから、慣れてはいるけど。
さすがに、ニノにしては、酷すぎる悪戯だ。
「お前、変わったな。そんな、奴だったっけ」
ニヤニヤと厭らしい笑みで俺に突っ掛かってくる。
下から上へ、目線をなぞらせて。
「スーツじゃねーし、なに、今日は休みってやつか?」
「…なるせ、じゃないんだけど…」
呟いた俺に、にの、っぽいやつは笑った。
「どうしたら、間違えるんだよ。俺が憎い奴、をさ!」
ぐっと、首元を掴まれて、トンネルの壁に突きつけられる。
さながら、ドラマのままで、顔は近づいてくる。
唇が微かに重なって。
「なんだよ、腑抜けた顔だな。…あの日みたいに睨まないのかよ」
ふん、と鼻を鳴らして、にのっぽいやつは俺から去っていった。
遠くなる背中を見て、すぐさま、ニノに電話をしてみた。
「もしもし、なによ」
「ねー、今なにしてた?」
「なにって、アンタのドラマの後のドラマを撮ってましたよ」
「……」
俺は全部、ニノに話した。
「あんた、疲れてんじゃない?ドラマに入り込み過ぎちゃったんじゃないの。
ま、そこで愛しのにのちゃんを幻覚で見たって言うんだから、可愛いね、あんたって人はさ」
少し弾んだ声のニノは、また撮影が始まると電話をきった。
あの様子じゃ、ニノじゃない。
でも、幻覚じゃないのは確か。
だって、触れた唇は、確かに熱かった。
きっと幻じゃない
(そういえば、ニノの役の名前…なんだっけ)
追伸
にのちゃん、逆ばーじょん。?
携帯に、こーいうの書くよ!的なメモがあるんですが、そのときのテンションとは違うんで、若干なに書きたかったか、忘れてるっていう…ね。
結局、誰なんですかね!^^
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