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サイフォン
あら/しおんりーですよ! 小説がありますが、実在の人物様とは関係ない!という事になっております。ご了承ください。
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冬休みになったので、携帯の待ち受けをなるせせんせいにしたら、書きたくなりましたので。
(大いなるヘたれですよ)


久々すぎて、まさよしさんが分かりません。

うーん…。
あ、あと温いですけどちょっとだけエッツィーな場面があるので注意してください。



さて、ドウゾー!







死に損ないの僕は、どうして生きているんだろう。
高い塀の中、無機質なコンクリートに囲まれた部屋に僕は身を投げ出すようにして横たわっていた。
裁判までの間、この拘置所で僕は息をしている。
仕立てのよい筈のスーツも、今はその面影なくよれてしまった。
どうして生きているのかも、考えるのも億劫で。
腹にある傷跡だけが、現実味を帯びている。


ドアの前で革靴の音が止まる。
食事の時間か?質疑の時間か?もう時間の感覚さえ分からない。
ろくに食事もせずに過ごして来て、体に力が入らない。目線だけを、ドアに向けた。
がちゃがちゃと鍵の音が響く。無表情の警官が顎で命令をする。

「面会だ」

よろよろと起ち上がり、面会室へ向かった。
こんな僕に誰が会いに来たというのだろうか。
僕はもう僕ではないというのに。

面会室は独房より狭く、パイプ椅子がガラス越しに置かれていた。
時間は5分。会話は全て記される。
力なく座った僕は、面会室の向こうドアが開かれた途端、目を疑った。

「…ま…さよ、し…」

小さく頭を下げたまさよしは、穏やかに笑っていた。
軽くパニック状態に陥っている僕は、視線を逸らし下を向いた。
どうして。
僕を恨んでいるはずなんだ。


「りょう」


優しい声で僕の名を呼ぶな。


父親を死に追いやられ、人から蔑まれ、人生の全て狂わされた男。
気まぐれに飼ったのは偶然だった。
あまりの哀れさが滑稽極まりなくて。
そして、計画が狂い始めるとともにこの男を、まさよしを愛してしまった。
誤算だった。
その迷いのような感情を断ち切るために、計画を早めるようにせりざわを追い詰めた。

計画の末路である、僕が殺されるように。



「なぁ、顔見せてよ。」
「…嫌です」


時間は刻々と過ぎていく。
僕は黙ったままで、顔を伏せている。
死ぬはずだった僕は、餞別として、全ての真実を伝えている。
もう二度と会うことはない。
そして、あの時のように暗い恨みしかない瞳で僕の骸を見下ろして欲しかった。


赦されるのが、怖い。


面会の時間が終わる。
僕は警官に引かれるがまま、面会室から出て行く。


「待ってるから」


まさよしは、僕をどうしたいのだろうか。


独房へと再び放り投げられるように閉じ込められる。
僕は抜け殻のままだった。

それから一ヶ月が過ぎた。
弁護士の資格は剥奪されたが、罪に問われることなく拘置所を出る日が来た。
門を潜り抜けると、目の前にはまさよしの姿があった。
逃げ出そうと走った。
しかし、動く事すら久々な僕はまともに走ることなど出来るわけもなく。
すぐに腕を掴まれる。

「…っ、どうして、逃げるんだよ」
「……」
「…帰るぞ…」

拾ったタクシーに、僕は詰め込まれるように乗り込んだ。
ただ目を閉じていた。
辿りついたのは、マンションだった。そう、僕が暮らしていたはずの。
まさよしの強い力に引き摺られるまま、部屋へと向かった。
部屋に入ると、あの時から何一つ変わることがない無機質な部屋が広がっていた。


「あんた、バカだよね。俺のために、あんな莫大の金置いてくなんてさ。」


最後の計画を実行する前に、僕にある財産を全て、まさよしの口座へと送った。
僕なりの考慮だった。そして今までの、懺悔と。


「あんなので喜ぶと、思った?」


ソファへと投げられるように倒れこむ二人。
顔の横に両手を突かれ、否応がなくまさよしの顔を見てしまう。
避けたくても、避けれない状態。


「俺言ったよね、あんたを守りたいって。俺にはりょうしか居ないんだよ。ううん、りょうしか要らない」



唇を塞がれた。
じわりと熱が伝わってくる、血が通い生きている証拠。
ああ、僕は生きている。
キスは段々と深くなる。唇の形をなぞられ、歯列を割られ。
舌先が探るように入り込んでくる。
まさよしは、性急だった。よれよれのスーツはあっという間に剥ぎ取られている。
拒む、という単語さえ浮かばないまま、僕はされるがままに、体を委ねていた。

痛みが欲しかった。
痛みを、罰を僕に与えてくれと、願った。
この行為に、僕はなにを求めているんだろうか。
ただ、切ないくらい僕の名を呼ぶ声と布擦れの音だけが鼓膜を震わせる。


「りょう、…りょ、う…っ」


けれど、痛みなどくれはしなかった。
体は、まさよしを覚えていて。
快感にどろどろになっていく体は、止められなかった。
繋がった瞬間、溶けそうなほどの熱さに涙がこぼれる。
生理的なものではない、もっと感情のあるもの。

愛しい。
触れる指も、重なった唇も、漏れる吐息も全部。



「まさよ、しっ…、ごめ、っんなさい…」
「、り…ょうっ……」



赦さないで。
こんな僕を決して赦さないで。


まさよしが中で弾けた。その衝撃に、僕も全て吐き出した。




「…あんたが、憎いよ。…あんたを、こんなに愛してるなんて…」





その視線は、僕が欲しかった瞳だった。
あの射抜くような、暗い瞳。



「赦さないから」






罪を償って。
(離れないで)







追伸
オチてない気がするけど…。
さて、久々のまおーネタ!
まさよしは知ってるんだよねー、なるせさんが赦されて生きるのが怖いって、って言うのが書きたかったんですけどねー。
私の中の、妄想ネタはまさよしさんが、なるせせんせいを救いたいがために弁護士になる!って話だったんですけど。
そういえば、僕は法では裁けねー!的なこと言ってたので。意味ないじゃん!ってことでこんな風に。
つーか、拘置所とか知識不足で間違いだらけですが、そこは目を瞑ってやってください^^無理だよ…わかんね!
ああ、まおー良いね。…見返す勇気は無いんですけど。





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