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サイフォン
あら/しおんりーですよ! 小説がありますが、実在の人物様とは関係ない!という事になっております。ご了承ください。
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頂いたネタからです!


愛されおーのさん、最高です^^



ちょっとシリアスなムードから…あれれ^^ってなりますよ!
そして、大好きなにのちゃん視点です、すいません^^



どうぞー!








おおのさんが逃げ出した。


「いつか、逃げ出してやろうって思ってる」


いつも言ってるけど、冗談だって思うじゃん。
あの人、本気だった、みたいで。




仕事場に来ない。
遅刻ならいいんだけど…もう二日も。
釣りなら、1日で帰ってこれるのに。
携帯は当たり前に繋がらないし、実家にも連絡がないみたいだ。
たった2日、だと思うけど。
遅刻を嫌い、あんなぼーっとした顔してるけど、なんだかんだ言っても真面目な人だから。
こんな連絡がないわけがない。






「おおのさんの入り待ちです!」



バタバタと走り回るスタッフ。
マネージャーも、焦り顔で。
俺たちは、ただただ、連絡を待つしかなくって。
各々の焦りが伺えた。

あいばさんは、とにかく手当たりしだい電話してて。

「リーダー見たら、すぐに電話して!うん、他の人にも伝えくれると助かる。ごめんね」

知り合いという知り合いに電話してんじゃないの?
いつもとは違って、青褪めてる。
手立てがなくなったのか携帯をようやく畳んで、ソファに掛ける。
祈るように手を合わせて、顔を伏せた。


しょうくんは、至って落ち着いて物事を見ていた。
ここで焦っても何も始まらない、それを一番に分かってるのはやっぱりしょうくんで。
沈みきったあいばさんの肩を慰めるようにぎゅっと抱いて、じっと視線を落としていた。
落ち着いた対応と、心の中の不安はバランスを取れていなくて。
肩を抱く腕は、傍から見ても震えていた。

俺は、向かい側のソファで平然を装って見せてトランプを切ってるけど、内心穏やかじゃない。
穏やかなわけない。
その証拠に、ただ新品のトランプで指の先が切れても、痛みが感じないほど。
血で薄っすら染まったもうマジックには使えないトランプを延々と切り続けていて。


じゅんくんは、とにかく事の状況を荒立てないように話をつけに行ってくれてる。
相変わらず、周りを良く見て、面倒見のいい人だと思う。
それでいて、人一倍心配性だから。
話をつけて俺たちのいる楽屋に戻ってきて、顔を歪ませて、ソファに座った。
苛立ちからか、組んだ足もそわそわと空を切る。
俺たちは何もいえなかった。
言えるわけもなかった。

誰もが、ただあの人の心配をしてるだけなんだから。


その時、皆の携帯が一斉に鳴った。
こんな事、普通あるわけがなく。
差出人がすぐに浮かんだ。
キャプテンからだ。


『新着メール 1通』


もどかしいくらいに、メールを開いた。
凝視した携帯から、目を離すとお互い顔を合わせた。



『ごめんね』



たった4文字が綴られていた。
きっと、皆同じ内容だろう。
そして、同じ気持ち。




「探しに行こう」





じゅんくんの言葉に俺たちは頷いた。
他の仕事も詰まってたけど、全部キャンセルした。
楽屋を飛び出し、しょうちゃんの車に乗り込んだ。

当てなんてなかった。
どこにも。
それでも、見つけなきゃ、って。


好きだから。
好きで、好きで仕方ないの。
あの人が居るから、俺たちやっていけてるから。
何もいらないの。

5人で居る事が、全てだから。
そして、今あの人に会わなきゃ、ダメな気がするんだ。
これはきっと、ずっと一緒に居たから分かる事。



とにかく、あの人の居そうな場所を巡る。
近くの釣具屋、画材店、回れる所は回って、聞くだけ聞いて。






そして、海沿いを走ってる。
暗くなって視界の悪くて、顔なんか見えやしない。
それでも、俺たちは目を凝らした。
一人として見逃さないように。



「あ!居た!ね、あれ、リーダーだよ!!」


あいばさんの声が車内に響く。
窓をどんどんと叩いて、防波堤の上を歩く一人を見つけた。
しょうちゃんは急停車して、車を寄せた。
見間違える訳はなかった。あんな究極の猫背はあの人しか居ない。
一目散に俺たちは走った。


「りーだー!」


叫ぶ声は波に掻き消されそうだったけど、リーダーは俺たちを見た瞬間、逃げ出そうと後退りをした。
いち早く追いついたあいばさんが、ぎゅっとリーダーを抱きしめた。
もう逃げないように…じゃなく、きっと居たことを実感するため。


俺たちも追いついて、少しでも触れたくて手を伸ばした。
温かい体温は、シャツ越しでも感じられる。

リーダーは戸惑ったように、何度も「ごめんね」を呟いていた。


「どうして、逃げたんだよ…」

じゅんくんがゆっくりと問いただす。
口調そのものはきついけど、その言葉泣きそうなほど震えてる。
縋るような俺たちに、リーダーは優しく頭を撫でる。
その仕草は、やっぱり俺たちよりも年上の人のそれで。

「俺…リーダー居ないとやだよ…」
「言いたくないんなら、それでいいんだけど…どうしてか…聞かせて?」

ゆっくりと俺たちは離れる。それでも、どこか消えてしまいそうなリーダーの腕は、しっかりと掴んでいる。
不安が現れているから。


「もう…俺、ついてけない…って思って…怖かったんだよ、これ以上仕事続けられるか」


俺の中の不安は、だんだんと苛つきに変わっていった。
そんな事聞いた事なかった。
きっと他の3人も聞いた事がないのだろう。
瞳が揺らいでるのが分かった。
リーダーは、そういう人だって知ってるのに。
溜め込んでるのに、迷惑になるからって、自分で処理しようとする。
その割りに短絡的だから、突拍子がなくて。



「俺なんか居なくても…良いかなって」



この人はとことん、バカだと思った。
何にも、何一つ分かってない。
そう思っていたら、気づけば掴みかかってて。


「なんで?…今まで、やってこれたじゃん…今更じゃねえかよ!」
「にのっ、ちょっとは落ち着けって!」
「落ち着いてられる訳ないじゃん!なあ、何でだよ…っ」


しょうくんとあいばさんが俺の背から、羽交い取られる。
暴れても、身動きは取れなかった。


「じゃあ、全部から逃げればいいんじゃない?仕事も、俺たちからも」


じゅんくんは、静かに言った。
顔を伏せたままの、リーダーは何も言わなくなった。



「逃げれるならね」



そっと笑うじゅんくん。
その言葉の意図を、3人は気づいて。
篭っていた力も抜け、深く息を吐いた。



「そうだよ。逃げれるなら、逃げて良いよ」
「そうそう!」
「逃げるだけ、逃げちゃいなよ」


リーダーはきょとんと顔を上げた。
だって、シリアスに掴みかかるほどの展開から一転、今度はニヤニヤと含むような笑いを湛える顔の俺たちが4人並んでいるんだもの。


「え…?」
「だーから、逃げても良いよ。ほら、逃げちゃえ!」

意味が分からず、頭を傾げたリーダーに俺たちは覆いかぶさるようにして抱きしめた。



「どこに逃げたって、俺たちが絶対追いかけてやるからってこと」
「そうだよ、どんな遠くに逃げたって、何度も追いかけて、引き摺ってでも連れて帰るからね!」
「続けられるか、なんて俺たちだって分かんないよ。でも、その最後まで5人じゃなきゃダメでしょう」
「…というか、キャプテン居なかったら、俺たち仕事になんないからね」

「…なんで、俺にそこまで…?」


好きで好きでしょうがない。
あなたが居て、俺たちが居る。
それを伝える事が出来ないから、こんな事になったんだと思う。

ごめんね。


「ね、分からず屋なリーダーにさ、もう言おうよ!」


あいばさんの言葉に頷く。


「あのね、リーダー…」
「…なに?」
「一つだけ、知っててほしいの」
「俺たちさ、リーダーの事…」




愛しちゃってんだよね。










誰よりも、あなたの事が大切なんだよ。
メンバーとしてじゃなくて、一人の人間として。






「ありがと。…俺も、皆好きだよ。すっげー好き!」





照れたようにくしゃっと笑ったリーダーに、異様な光景だと思うけど。
その頬にそれぞれキスした。
小波をBGMにして。









それから、俺たちは並んで、手を繋いで海沿いをそのまま歩く。

そっと、この手を離さないようにしないようにと誓いながら。













おまけ

「さ、リーダー。俺たちに迷惑掛けた分、しっかりとお仕置きするから」
「お仕置き…?いや、おいら…そういうのは…」
「あれ?逃げちゃう感じ?」
「もう逃げよう、なんて気を起こさないようにしないとねー」
「もう、逃げねぇから…」
「はいはい、信用できませんからねー、態度で示して貰わないと」
「やーだー…っ」


どんなお仕置きかって?
それは、ご想像にお任せします、って事で。







追伸
頂いたネタで書いてみました!(hororuさま、有難うございました!)
なんか、逃げた理由がしょぼくてすみません。
そして、5人も出ると…誰が誰だかわかりませんな^^

でも、やっぱり愛されおーのさんは好き過ぎる…!
もう…どのCPでも美味しく頂ける感じが堪りませんな^^
ごちそーさまでした^^




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うわぁ・・・
あああ、ありがとうございます!
想像以上に感動的で、よくわからないけど、ニヤけがとまりませんでした!(笑)やっぱり、さすがですねw逃げた理由とか、終わり方とか、すばらしくって、すごく満足です‼
おーのさんは、やっぱり愛されてなんぼですねw難しいネタですいませんでしたorz


いやでも、ほんとにありがとうございました!!!
hororu 2009/01/14(Wed)21:29:48 編集
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