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サイフォン
あら/しおんりーですよ! 小説がありますが、実在の人物様とは関係ない!という事になっております。ご了承ください。
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※気をつけてください

ちょっとだけお兄ちゃん同士の恋、が絡んでます
女の子なんて、まったく一切、絡んでないです。そんな恋を見たい!いや、求めてたよ!!!!
っていうお姉さんがた、どうぞー。
もちろん、その世界の常識を兼ね備えてる方のみで、お願いします!
やまとかぜのお兄さんたちと同じ名前で、同じ職業だけど、他人の空似だと思ってくださいね^^


今回はニノ視点とまつじゅん視点の2パターンにわかれております!

分かりにくくてすんません。書分けが出来ないのよ^^



って事で、ドウゾー↓


おおのくんは電話の後、すぐに戻ってきた。
勘は鋭いほうなので、電話の時にはまだじゅんくんの近くにいたと、すぐ分かった。
咎めるつもりはない。
咎めれば、あっさりと俺の前から離れてしまうことが目に見えているから。

「おかえり、じゅんくんとこ行ってたの?」
「…う、ん。さっきのこと、謝って、きた」

明らかな動揺。おおのくんは相変わらず、嘘がつけない。
正直な人。
気付かない振りを、続けてあげる。

「そっか。ちょっと、俺が調子に乗ったからだよね、ごめん…」

顔を伏せ、殊勝に出ると、おおのくんはううん、と俺の方に近づいてきた。
冷たく、細いその指が頬を挟んだ。
顔をお互い見つめれば、唇が重なった。

「おいらも、ごめん」

離れた唇から、おおのくんは呟いた。
眉が少し下がっている。この顔が、好きなのに。
今日はなんだか、無性に泣きたくなった。

「俺ね、おおのくん以外だめ、なんだよ。おおのくんしかいらない」

声を震わせて額をくっつけて言うと、おおのくんの肩が小さく跳ねた。

「ありがと、にの」

声が微かに震えてることを、俺は聞き逃さなかった。
それに気付かない振りをして、もう一度キスをした。

誰のものかを、教えるように。



それから、しょうくん、あいばさんが次々と来て、楽屋はいつものように賑やかになった。
俺とおおのくんはソファにに寄り添って、おおのくんは雑誌を、俺はゲームを、と全く変わらない様子で過ごした。
相変わらず、だとしょうくんは笑う。

その変哲もない生活。

俺が求めていたもの。なのに。

「おはよ」

じゅんくんが楽屋に戻ってきた。
電話のように動揺した様子はなかった。

(覚悟、決めたわけですね)

俺はじゅんくんに一瞥を向けて、またゲームへと戻した。
ゲームが楽しいからじゃない、なにかこみ上げるものがあって、口元が緩んだ。

精々足掻けばいい、と。
どんな手を使ってでも、この肩に寄りかかる温もりを離さないから。




○●○●○●○



楽屋に戻ってきたのは、15分ぐらい経ってから。
しょうくんもあいばちゃんも来たみたいで、いつもとなんら変わらない楽屋だった。
俺だけが、何故か馴染めなくて。

おおのくんなんか、さっきまで戸惑ってたのに、平気でにのに寄りかかって雑誌読んでるし。
にのはにので、普段どおりにゲームに夢中だ。
改めて、自分の入る余地なんかない事に気付かされる。

「まつじゅん、どうした?…ご機嫌斜めっぽいんすけど」

新聞を読んでいたしょうくんが、新聞から視線を俺に移していた。
少し恐る恐ると言った様子で、こっちを伺っている。
苛立っているのが分かるくらい、顔に出てたのか。
不機嫌はいつものことだから、そっとして置くのが無難だと、皆避けるのに。

「ん、別に」
「なら、いいけど。今日のまつじゅん、特に怖いっすよーとか、ね、言ってみたり…」

いやはや、と言葉を濁しつつ、しょうくんは新聞に隠れた。
本当に頭のいい人って、空気が読めるんだよね、って思う。

「いや、本当何かあったらさ。相談乗るし、あんま溜め込むなよ。まつじゅん、一人で何でも解決しようとすっからさ」

そして不意に新聞を読みながら、しょうちゃんが呟いた。
その言葉に少し泣きそうになった。

溜め込みすぎか。

でも、吐き出しちゃったから、こんなに悩む事になったのに。
言わずに、ただ自分の想いをじっと我慢してれば。
今、苦しいなんて思わなかったのだろう。

伝えなければ。

後悔だけが俺をめぐる。

そして、煮え切らない気持ちのまま収録が始まった。
収録中は仕事だと割り切れるので、影響はあんまりなかった。
休憩の間だって、にのやおおのくんとも普通どおりに話せた。
おおのくんは顔に出やすいから、すこしぎこちなかったけど。

収録を終え、それぞれが違う仕事に向かうときだった。
おおのくんが一人で帰る、と言うのをマネージャーから聞いて、俺は急いでおおのくんを追いかけた。
案の定、玄関を出る所だった。

「リーダー!」

イヤホンをしている彼は、全く気付いてなくて。
ポンと肩を叩くと、それは面白いくらいに跳ねた。

「!!」
「俺だよ」

振り返ると俺だったのに、彼はさらに驚いた様子だった。
そして、ぎこちない笑顔に。

「おう、お疲れ。…どうした?」
「いや、一人で帰るって聞いたから。今から、暇?」

おおのくんは少し戸惑った様子だったけど、小さく頷いた。
んじゃ、と彼の手を引く。

「ちょっと、まつじゅん!」

いつもにのとならするくせに、と子供染みた嫉妬から、拒むその手をぎゅっと握って俺は自分の車のある駐車場に向かった。
やっぱり、さっきのことがあってか、車内は音楽が流れるだけで。
何を話せばいいのか分からなかった。
でも、ついて来たって事は。
そんな期待を胸に、個室のある行きつけの飯屋に急いだ。

店につくと、浴びるように酒を飲んだ。
程よく酔っ払って、先ほどの話題を出さずに、当たり障りのない話を続けた。
おおのくんは取り繕っているのか、酒のせいかは分からなかったけど、いつもよりよくしゃべった。
話題がふと途切れる。
妙な沈黙が流れて。

「あ、のさ。あの後、にの、なんか言ってなかった?」

切り出したのは俺からだった。
こんな事聞いて何にもならないのは分かっているけど。

「ん?なんにも、言わなかったよ」

なーんにも、と彼はおどけて見せた。そして自嘲して笑う。

「ね、まつじゅん。俺、卑怯だよ。まつじゅんに好きって言われて、本当に嬉しかった。前に好きだったとしても。
でも、にのにすっごい好かれてることが幸せでさ」

彼の言葉に、急に酒が回ってきて、口に出す言葉が呂律が回らなくなっている。
でも、意識はしっかりとあって、自分を卑怯だと言う彼に更なる卑怯な提案を示した。

「…リーダー…、欲張りに、なってみない?俺とにの、二人から愛されてみたら…」

机の上に置かれた、その手に自分の手をそっと重ねた。
おおのくんと視線が絡まる。

なんて、場末のドラマなんだろうか。
不倫を勧める、愚かな男。
こういう役回りの男の行く末なんて、破滅しかないのに。


それでも、一時の彼が欲しかった。



張り
(どうか、この手を振り払わないで)








…追伸
あれれ?な展開に。
なんか、まつじゅん諦めムードじゃね?みたいな。
ちょっと、アンケートに拗ねちゃったな、これは^^
っちゅーことで、こう言う展開になりました。
おおのくんって靡きやすいのかな。
と、思いつつ、また次作を書きます。

んー…終わるの?これ…
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