「ね、手に入らないものをどうしても欲しいとしたら…あなたならどうします?」
俺はポツリと、その俺が独り善がりに恋をしているリーダーに呟いた。
まだ、誰も居ない楽屋。定位置に決まったソファに、二人きり。
リーダーは俺の質問に、めんどくさそうに返してくる。
「手に入んないのなら、どうにか触って、満足して諦める、かな」
「そこは、男らしく?」
「うん、男前に」
ばっちり決めるね、とリーダーがリーダーの思う男らしいポーズを決めて。
んふふ、と二人で笑った。
「にのは?」
「え?」
「にのはどうすんの?手に入らないもの」
まあ、この流れでは聞かれるでしょうな、と思ってたけど。
いざ聞かれるとなると、ねえ。
困ったものですよ。でも、正直に答えるべきかなと。
「手に入らないなら、しばらく眺めに眺めて、自分のものって勘違いする前に壊す、かな」
「なんか、怖いのな」
「だって、自分以外の奴が手に入れたら、嫌じゃん」
「にのっぽい、かも」
「なによ、それ」
リーダーは途中、怖そうに眉を顰めたけど、すぐに小さく笑った。
そして、俺の膝を枕にして、ゴロンと寝転ぶ。
誰にでも、するんでしょう。
こうやって、誰にでも、甘えて。
それでも、触れたくて躊躇いがちに、その短く切られた髪にそっと触れる。
「にのの膝が、一番サイコー」
「はいはい、そういうのは女の子に言いなさいよ」
「ううん、にのしか、したくない」
ほら、また。
あなたがそんなこと言うから。
勘違いして、しまう。
そして俺は、すうすうとすでに眠ってしまったリーダーの唇に、キスをした。
これだけじゃ、やっぱり壊れなくて。
俺は、小さく息をついた。
**********
「ね、手に入らないものをどうしても欲しいとしたら…あなたならどうします?」
にのが突然聞いてきた。
誰も居ない楽屋。まだ、にのと俺しか居ない。
にのは、唐突にこんな質問をしてくるから、困る。
よくわかんねーけど、なんとなく「手に入らないもの=にの」な気がしてならないから。
俺は頭を掻いて、にのに置き換えて、答えた。
「手に入んないのなら、どうにか触って、満足して諦める、かな」
「そこは、男らしく?」
「うん、男前に」
にのは勘付きやすいから、どうにか誤魔化すようにして、わざと茶化した。
すると、やっぱりにのの答えも気になる。
だって、にのの好きな人が居たら、どうなるのかってやっぱり気になる、から。
辛いけど、ね。
「にのは?」
って、問いかけると、困ったように顔を顰めた。
にのは頭の回転が速いから、すぐに答えると思ったんだけど。
なにか、思いつめたように、俺を見つめて。
「手に入らないなら、しばらく眺めに眺めて、自分のものって勘違いする前に壊す、かな」
壊す、という言葉が、妙に怖くて。
にのっぽくて、にのじゃないような。
言葉に出来ないけど。
「なんか、怖いのな」
「だって、自分以外の奴が手に入れたら、嫌じゃん」
「にのっぽい、かも」
「なによ、それ」
すると、にのが優しく笑うから。
訳分かんないけど調子に乗った俺は、膝に寝転んだ。
するとすぐに、手が伸びて俺の頭を優しく撫でる。
「にのの膝が、一番サイコー」
「はいはい、そういうのは女の子に言いなさいよ」
「ううん、にのしか、したくない」
したくないよ、ニノ以外に。
でも、結構一杯一杯なんだよ。
俺、積極性なんてないから。にのが気まぐれに触ってくるのをひたすら待ってる、だけ。
だから、満足できるわけ、ない。
もっと、もっと、触れておきたい。
触れて、欲しい。
気まぐれで、いいから。
もうすぐで、諦めるよ。
男前に、さ。
だから…もう少しだけ。
それは、メビウスの環。
(いつか、それを断ち切って、本当のあなたを手に入れたい)
追伸
きあらさまリクエスト「切ないNO(お互い好きなのに、すれ違い)」を頂きました!
二人とも公でくっついてるのに、裏じゃ、なんとなく気まずくじゃれ合ってる感じを、出して見ました。
すっげー好きなんだけど、お互いプライベートまではありえないよね!って言い合って、勝手に傷ついてる。
みたいな!
本当はにのちゃんの独白だけで、終ろうとしたら、まったくおーのさんの気持ちが見えなくて、取って付けたように
書いてしまいました。
すいません。
でも、自分なりに、切ないねキュン!を書いてみたつもりです!
お気に召して頂けたらなーと思っておりますっ。
リクエストありがとうございましたっっ!
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